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  • 2017年3月16日(木)

新国立劇場で『ルチア』歌う美人ソプラノのペレチャッコがオーラとフェロモンを発散

オペラ『ルチア』冒頭のシーン。スコットランドを印象付けるダイナミックなセット/Photo:撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

週刊ファッション日記 番外編#18

私にとってドニゼッティ作曲のオペラ『ルチア』と言えば、1996年9月のフィレンツェ歌劇場(メータ指揮、上野文化会館)の来日公演に尽きる。エディタ・グルべローヴァ(ルチア)、ヴィンチェンツォ・ラ・スコラ(エドガルド)、ロベルト・フロンターリ(エンリーコ)という凄いキャストだった。一音たりとも聞き逃すまいと静まりかえった文化会館で当代随一のルチアと謳われたグルべロ―ヴァが歌う狂乱の場の絹のような声を今でも忘れられない。今となっては懐かしい思い出だ。実に20年前のことだ。当時49歳だったグルべロ―ヴァは昨年引退公演で来日していた。20年前もそろそろ下り坂と言われていたが、実は円熟の真っ盛りだったのだ。一方悲しいことに相手役のスコラは心臓麻痺で6年前の2011年4月に52歳で亡くなっている。

『ルチア』を観るときは、この1996年を基準に評価するから、ちょっとやそっとのことでは、納得する上演に出会わないのであるが、今回の新国立劇場の『ルチア』は私の新基準になるような見事な出来栄えだった(3月14日初日)。

まずルチア役のオルガ・ペレチャッコが素晴らしくて、新時代のルチアを感じさせた。20年前のグルベローヴァと違って、こちらは若くてフレッシュ(1980年ロシア・サンクトぺテルブルク生まれの36歳)。スリムなネトレプコといった感じの美女であるが、スター特有のオーラを発散させている。ついでにフェロモンも。ルチア役としてはセクシ―過ぎるかもしれないがまあそれはプラスアルファだろう(笑)。コロラトゥーラのテクニックもまずまずで久しぶりに息を飲むようソプラノに出会った。どうしてこんな世界的な売れっ子歌手が新国立劇場に現れたのか。新国立劇場の入念な公演準備には定評がある。一演目について大体3週間かける。こんな歌劇場は世界中にない。売れっ子歌手の間でも「自分のレパートリーを一から練り直したいのであれば新国立」が合言葉になっているという。ペレチャッコもたぶんそんな思いで来日したのではないか。完全にルチア役が自家薬籠のものになっていた。「ベルカントの新女王」という前評判は決してオーバーではなかった。ただし声はちょっと重くなっている感じで、今後レパートリーは広がっていきそうだ。コロラトゥーラとしては今が聞きごろかもしれない。

新国立劇場で『ルチア』歌う美人ソプラノのペレチャッコがオーラとフェロモンを発散Byron(バイロン)で公開された投稿です。


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