2012年2月11日(土) 東奥日報 社説



■ 安心の設計図待ったなし/人口減・超高齢社会

 50年後といえば、今の高校生の世代が65歳以上の高齢期に入っている時代である。そのころ、日本の総人口は現在の約3分の2に落ち込み、高齢者人口が全体の約4割に達するという超高齢社会を迎えている−。

 国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来推計人口で、こうした未来像が示された。高齢者1人を現役世代がほぼ1人で支えるという社会の到来である。 人口は社会の活力にかかわる。厳しい未来予測を直視しなければならないが、確かな政策で今から変えられる未来があるはずだ。このまま手をこまねいて、子どもたちに、将来不安を抱えたままの社会を手渡すわけにはいかない。

 産業構造や地域社会のありようを含め、将来を見据えた「安心の設計図」を描く議論はもう待ったなしである。中でも社会保障制度の抜本改革が問われている。持続可能な制度設計をするはずの政治の場で、議論の足踏みは許されない。

 2010年の国勢調査に基づく将来推計(標準的な中位推計)によれば、同年に1億2806万人だった人口は48年に1億人を割り込み、60年に8674万人にまで減少する。高齢者人口が増える一方、14歳以下の年少人口、15〜64歳の現役世代の人口は、50年後にはともにほぼ半減する。

 07年に公表された将来推計で、本県人口は35年に105万人になるとされた。ピークの152万4千人(1985年国勢調査)から50万人近い減である。高齢者人口は35年の段階でほぼ4割に達し、全国を上回るペースで超高齢化が進む。

 現在の社会保障制度は、高度成長期の1960年代に土台が整えられた。

 当時は現役世代が10人前後で高齢者1人を支えるという「胴上げ」型の社会だった。現在は2.8人で支える「騎馬戦」型だが、50年後には1.3人で支える「肩車」型になると見込まれている。支える方も支えられる方も、極めて不安定な構図になりかねない。

 半世紀も前の設計図は限界に来ている。

 政府、与党は「社会保障と税の一体改革」の大綱素案を決定した。給付は高齢世代、負担は現役世代中心という現行制度を見直し、子育て支援の強化など「全世代対応型」の制度にするとしている。「年齢を問わず能力に応じた負担」を求める方針も示した。

 問題は負担が安心のコストとして納得できるかだ。大綱素案は、消費税率を段階的に10%にまで引き上げるとした。一方、民主党が10日に公表した新年金制度の財政試算によれば、将来的に消費税率の追加的な引き上げが必要とされる。

 その試算は「政策検討用の参考資料」(民主党)なのだろうが、国民が知りたいのは、長期的な設計図と必要なコストの全体像だ。

 このままでは一体改革の大綱素案だけで本当に安心なのかという疑問が募るばかりだろう。政争ではなく政策論争の深化へ、野党も明確な全体像を提示してほしい。答えを出せない政治が将来不安を加速させる。


HOME