2003年4月3日(木) 東奥日報 特集

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■ バナナ全滅騒ぎは間違い/危ない単一品種への集中

 「バナナが絶滅する」といううわさが、最近欧米で流れ、大きな話題になった。実際には日本や欧米などでの人気品種に特有の病気が広がれば、食べられなく恐れがあるという話だった。ただ、バナナに限らず農産物生産は消費者好みの品種に集中しがち。病気が流行すれば壊滅的打撃になる。食べ慣れた米や野菜、果物が、食卓から消える事態を懸念する声も強い。

 ▽絶滅はあり得ず

 うわさの出所は今年一月に出た英科学ニュース誌ニューサイエンティストの記事。土の中にすむカビの一種、フザリウムでバナナが枯れるパナマ病が東南アジアから広がり、十年以内にバナナが絶滅するという内容だった。

 ところが記事の中で絶滅を予言したベルギーの植物病理学者、エミル・フリゾン博士は発言を否定。共同通信の取材に「絶滅などと絶対に言っていない」と釈明した。

 一九五○年代、欧米で人気のあったグロミシェルという品種にパナマ病が流行、輸出市場から姿を消した。ただアフリカや南米では今も地元消費用に栽培されている。

 今度のパナマ病は新型で、日本や欧米で人気のキャベンディッシュという品種に感染する。「輸出量の多い中南米に広がると、前と同じ道をたどるかもしれないと言っただけ」(フリゾン博士)

 バナナの品種は五百以上。年間生産量は計約八千五百万トン。輸出されるのは13%で、キャベンディッシュはさらにその10%。それが消えても「絶滅」にはほど遠い。

 ▽コシヒカリも心配

 バナナの病気が専門のランディ・プレッツ米フロリダ大教授は「土などの持ち込みを制限し、発生しても消毒などをすれば拡大は防げる」と指摘する。

 問題は新しい病気に対抗できる新品種づくりが進まないことだ。栽培品種のバナナには種がないので技術的に難しく、研究者は世界に五人だけ。

 「品種改良は高収量と高品質を追求する。その中でもともと持っていた抵抗性が落ちることはよくある」と植物細菌病が専門の後藤正夫静岡大名誉教授は指摘する。

 革命的増収が期待された米「IR8」、食味の良さが売り物のサツマイモ「ベニコマチ」。抵抗性を忘れてしまい、消えた例は少なくない。

 日本の米生産の主力、コシヒカリもいもち病に弱い。九三年の冷害ではコシヒカリとその一族にいもち病が広がり、大きな被害を受けた。現在、いもち病への抵抗性を強める研究が進んでいる。

 「いろんな品種が混ざっていれば病気の広がりも限定されるのだが」と後藤さん。「これからは低農薬の持続型農業の時代。病気に強い品種を作る以外に道はない」



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