| 2003年12月9日(火) |
|
|
十二日に「生誕百年、没後四十年」を迎える日本映画の巨匠、小津安二郎。記念の特集上映に、マニア以外の観客も詰め掛け、高価なDVD作品集が売れるなど、小津ブームが起きている。 ▽売れる高価DVD 東京・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターでは「小津安二郎の芸術」と題して、監督作品全五十四作のうち現存の全三十七作品と関連四作品を特集上映中(一月二十五日まで)。小津作品の多くはビデオも普及しているが、代表作の一つ「東京物語」の回は、入りきれないほどの観客が詰め掛けている。 「固定ファンよりも、新しいお客さんの方が多い。細部にこだわる小津映画こそ、大きなスクリーンで見てほしい」と同センター。小津脚本の「月は上りぬ」(田中絹代監督)を見にきた都内の女子大生は「小津さんの作品は、人間の愚かなところもひっくるめて、許しているところが好きです」と話した。 ファンの人気を集めているのが小津作品を集めたDVD作品集だ。全四集(計三十四作品収録)で、九月から毎月順次発売されている。各集二万三千五百円と高額にもかかわらず、第三集までで計二万一千部を販売。今月末発売の第四集も既に予約が五千部に達しているという。 「生誕百年の波及効果で、予想の倍は出ている。画像を修復するデジタルリマスターで映像もきれいになっているので、ファンからも好評です」と発売元の松竹ビデオ事業室。 ▽貴重なエピソード CDショップも、小津コーナーを設けるなどして積極的に販売。小津作品に出演した女優の有馬稲子さんらを招いてトークショーを行っているHMV渋谷には毎回、二百人以上が集まり、貴重なエピソードに耳を傾けている。 このほかにも、NHK・BS2は一月まで三十七作品を一挙放送中で、WOWOWも市川崑監督が「晩春」をリメークした「娘の結婚」を今月十四日に放送する。 十一、十二日には、台湾の侯孝賢監督ら世界の映画人を招いての生誕百年記念シンポジウムが東京で開かれるが、チケットは売り切れ。小津監督が若いころ代用教員をしていた三重県飯高町では、当時の教え子らが中心になって「オーヅ先生を偲(しの)ぶ集い」を開く。 特集上映やシンポを主催する松竹は「映画を見たお客さんからは『こんな世の中だから、ほっとする』という声も聞く。小津映画が、家族のことなどをしみじみ考え直すきっかけになっているのかもしれない」と話している。 |