| 2003年12月17日(水) |
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アフガニスタンの首都カブールで、アヘンやヘロインなどの麻薬常用者が急増している。旧政権タリバンの崩壊後、世界最大のケシ生産地に逆戻りしたアフガン。政府は欧州諸国などの圧力を受け麻薬の密輸防止に力を入れているが、国内の常用者対策には手が回らないのが実情だ。 ▽まん延 いまだに廃虚が目立つカブール西部。五人の子どもを抱える主婦マリアさん(30)は、夫に内証で十年前からアヘンを常用し、頭髪はほとんど抜け落ちている。末の息子のエルハムちゃん(1つ)の泣き声に悩まされ、スプーン一杯の母乳にアヘンを溶かして飲ませ続けた。「ぐっすり眠ってくれるから」とマリアさん。 母子の治療にあたるシャイスタ医師は「この子に将来どんな後遺症が現れるか予想も付かない」と途方に暮れる。 無職のグラムハイダリさん(27)はヘロイン中毒。生活費と薬代のため家や土地、家財は売り払った。「おれの体も家族も、ボロボロだ」とうつろな表情。 国連薬物犯罪事務所(UNODC)の調査では、人口二百八十万人のカブールで少なくとも四万人が麻薬を常用。「戦争の苦しさから逃れ、めいった気持ちを晴らすため」に手を出したケースが圧倒的に多く、四割はイランやパキスタンでの難民生活がきっかけだ。難民帰還とともに常用者は激増し「特に若い世代に広がっている」と政府のヤシニ麻薬対策局長。 ▽立ち遅れる対策 背景には入手の容易さがある。小豆大のアヘンが三十アフガニ(約七十円)と、食堂での朝食代程度の安さ。一日分のヘロインも二百アフガニ程度だ。友人や親せきに「気分が明るくなる」と勧められ、麻薬と知らずに始める例もある。 アフガン産の麻薬流入に悩む欧州などからの支援は、ケシ畑の撲滅や密輸ルートの壊滅に集中。国内の常用者対策は大きく立ち遅れており、カブール市内の治療施設は二カ所、三十床だけだ。政府系施設の治療責任者ポパル医師は「入院期間を短縮し患者の回転率を上げているが、とても追いつかない」と憤る。 UNODCカブール事務所のブロコス副代表は「アフガン政府と国際社会に事態の深刻さを認識させることから始めなければならない」と話した。(カブール共同・安井浩美、木村一浩) |