2003年12月26日(金) 東奥日報 特集

スクランブル

INDEX▼

  
■ 顔の電子情報で本人確認/顔の電子情報で本人確認

 成田空港や関西空港などから海外へ旅立つとき必要な旅券(パスポート)が、早ければ二〇〇五年度中に「顔」の生体識別(バイオメトリクス)情報が入った電子旅券に変わり、出入国時に生体識別を使った審査が行われることになりそうだ。

 米国が中枢同時テロ後の防止策として、その人固有の身体的特徴を電子情報化した旅券を来年秋までに導入するよう各国に求めているのを受けた措置。ただ「テロ対策」の名の下に導入をせかされるあまり、個人情報の取り扱いなどの課題が後回しになっている面もある。

 ▽水際対策に期待

 顔の電子旅券を使った出入国は(1)審査官に旅券を提出(2)カメラに顔を向ける(3)撮影された「顔」と、旅券の「顔」の電子情報を機械的に読み取り照合(4)本人と識別されれば、審査をパスする−という流れ。

 米国は来年から、長期滞在などの査証入国者には、顔の写真と指紋の採取を求める方針。観光旅行の日本人でも、来年十月下旬以降に発給される旅券が電子旅券でない場合は査証が必要との立場だ。

 国際的には、電子旅券に使う生体識別は「顔」を基本とし「指紋または眼球の虹彩(黒目部分)の利用も認める」との方向性が出されている。外務省は「指紋は抵抗感が強すぎる」と判断し、「顔」の情報だけを利用することにしている。

 出入国を管理する法務省は、従来の旅券に比べ電子旅券は偽造や変造が難しいうえ、審査時には入管が持つテロリストら要注意人物の生体識別情報と照合することで、水際対策に効果が期待できると強調する。

 ▽導入に重い課題

 しかし「私たちの個人情報がどう扱われるかも心配だ」(福島瑞穂社民党党首)などと、政府が保有することになるデータの管理方法や使用目的をめぐる懸念の声も出始めている。

 また「テロ対策であれば他国が導入しなければ意味がない」との指摘があるほか、日本人の海外旅行者に対し「顔」に加えて「指紋」などを求める国があった場合の対応も難しい問題だ。

 技術面では、表情の変化、二、三年の加齢、眼鏡の有無などの変化があっても瞬時に「本人」と見破れるような進展があるというが、メーカーによって顔照合システムにばらつきがあり、規格統一が必要となる。




HOME